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Contents |
ボクシングレコード
イントロダクション
徳山昌守Interviw
May 4 , 2001/May 10 , 2001/June 27 , 2001
濱田一成Interviw「在日の星」
徳山四郎Interviw「体話」
ヘルマン・トーレスInterviw「怖れ」
ポストスクリプト |
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◆「We
are One!」は、ボクサー徳山昌守の熱いメッセージだ。 |
20世紀も残り僅かとなった2000年8月27日、在日朝鮮人3世徳山昌守は、無敗の韓国人チョ・インジュの持つWBC世界スーパー・フライ級タイトルに挑戦した。この世界戦は、「リングの上には“サンパルソン”はない」という印象的な言葉と共に、南北朝鮮の“祖国統一”の願いを込めた歴史的な試合として内外に注目された。“サンパルソン”つまり“38度線”は、言うまでもなく朝鮮半島を南北に分断する軍事休戦ラインのことである。
世紀を越えた2001年。限りない魅力を秘めたチャンピオン徳山昌守の2度目の防衛戦は、タイトルを奪った相手チョ・インジとのリマッチと発表された。が、その試合はリベンジに燃える韓国ソウルで5月20日の開催となった……。
「We are One!」は、敵地でもあり、祖国でもあるソウルの地で防衛戦に挑む徳山昌守の熱いメッセージである。 |
◆朝日新聞書評──「在日」の枠を超える情熱と力と |
この写真集は、ボクサー徳山の美しさをよく伝えている。トレーニングに励む姿、恋人とのショット、試合前の緊張した空気。そして勝利に喜ぶ家族や関係者たち。どれもいい写真だ。
また徳山本人、家族、支援した民族学校の先輩、トレーナーなどへのインタビューがこの本に厚みを加えている。周囲の人々が徳山に寄せる熱い思いが読者に届く。なかでも迫力あるのは、徳山の父である。熱血漢で息子思いの父親だが、日本で生まれ育った二世ゆえに、民族の言葉や文化に強くこだわってきた。この父の足跡があって、徳山は在日朝鮮人という出自をコアにし、だからこそ「枠」を超える力を持てたのかもしれない。
この写真集はひとりの青年の成長の物語である。と同時に大きく動きつつある朝鮮半島と「在日社会」の現在を描いてもいる。私も、徳山昌守が「洪昌守」の名でリングに立つ日を待ち望むひとりだ。
評者・与那原恵(ノンフィクションライター)
朝日新聞2001.11.25日掲載(抜粋)
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◆偉大なる世界チャンピオンへ──12月20日、6度目の防衛戦 |
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海外防衛を果たしたチャンピオン徳山昌守は、その後の01年9月24日指名試合のジェリー・ペニャロサを判定、02年3月23日柳光和博を9回KO、02年8月26日エリック・ロペスを6回TKOと、5度の防衛に成功。近年、初防衛すら叶わない日本ボクシング界において、待望の長期政権を維持し続けている。
そして6度目の防衛戦が、来る12月20日、大阪城ホールで星野敬太郎とのダブル世界戦として開催される。V6戦に徳山が迎えるのは、昨年9月のV3戦で対戦し12回判定勝ちに退けた指名挑戦者のペニャロサ。徳山が「過去30戦で一番しんどかった」とも告白した難敵だ。しかし、試合毎に強さと輝きを増すチャンピオンにとっては、先を見据えた相手でしかないのではないか。KO勝利の予感さえする。この先には、WBC・WBAの統一チャンピオン、2階級制覇といった大記録への期待も広がる。通過点となるファン必見の試合だ。 |
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