馬たちの死に方は様々だ。年齢も、原因も、場所も。
ただ、彼らを看取った人、関わった人間にとって、その死に軽重はない。
―――本書まえがきより―――
本書は、GI馬からデビュー前の若駒まで、99頭のサラブレッドの最期について綴ったものです。取材が許された馬たちについては、関係者の思い出やレース回顧等で生前の姿を偲び、そして関わった方々のその馬への想いができるだけ伝わるように執筆しました。取材がかなわなかった馬たちについては、判る限りの最期の様子をしたためました。取材しながらも、辛く、悲しい思いをすることが多い本でしたが、なぜか共通しているのは、沈痛な面持ちで魂を搾り出すように語り始められた関係者の方々が、すべてを語り終わったときには一種の清々しい表情を見せられたことです。馬たちへの鎮魂歌として始まった本書が、予期せぬこととはいえ、ホースマンたちの馬への想いを昇華させる一助となったのであれば、これに優る喜びはありません。また、すでにお読みになった皆さんからの「涙を流したけれど、それでも知ることが出来て良かった」という読書カードもたくさん頂戴しております。 |